仮庵

書きとめる仮住まい

孤独

今年は雪解けがはやい。
毎日プラス気温で、道路わきに積もっている雪も残りわずかである。

冬用にちぢまったからだがゆるんで、家族はみなどうにもぼんやりしている。

わたしが出かけると言っても、動きたくないようで「いってらっしゃーい」と言われ、夕方にひとりでかけてゆく。

夕日がのびのびしている。夕日も冬の間はからだがちぢこまっていたに違いない。夏至へむけて少しずつ柔軟体操でもしているかのよう。

それを見ているうちに、ぐぐぐっと胸から嬉しさがこみあげてくる。

なぜ、こんなにも嬉しいのだろう。
雪解けや、春の訪れからの嬉しさだけではない。
「いまのわたしは、孤独なんだなあ」
そんなことばが思いついて、トトロみたいに目がくわっと開く。さらに嬉しくなる。

たまたま一人になり、目に入るもの・聞こえるものをことばで共有する者がいない。それでもいいんだ、と思う。

一人でいる駅のホームが好きで、一人でいる大きな街の中が好きだ。
家の中にひとりでいるのとは違う孤独がある。
多くの他人の中、ざわめきのなかにぽつねんとしていることが、すごく好きだ。
そこは、孤独であり、自由なところである。

昼と夜のさかいで、存在すらあやふやになりながら、自分にしか感じられない悦びを抱く。
悦びで充ち満ちる。

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