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仮庵

書きとめる仮住まい

オトナ

たっぷりいろいろなことを言われるだろうとあきらめてのぞんだ個人面談。

わたしは、勝手に自由登校をしていた。
これ以上休むと、いよいよ父に怒られるぞというときしかたなく行く。
行かないときは、カーテンを閉めきった部屋でラジオばかり聴いていた。そこが安心の穴だった。

幼稚園のころから、同年代のきもちはよくわからなかったのだけど思春期ともなるといよいよ理解不能だった。

いまはもっとおおざっぱになったけれど、いまもむかしもあんまりかわってないので、自意識ど真ん中、見栄の張り合い、弱さやかなしさみたいなものを隠すために暴力的になっていく社会はとても生きにくかった。

担任とおこなった面談の内容は忘れてしまった。小言は言われなかったのだとおもう。

ふと息をついたら、外から部活動の声が聞こえることに気がついた。
心にもないことだったが沈黙を埋めるために「あの三人グループは、仲よさそうでいいですね」と面談をしていた教室からいちばん近い部活に属していた三人組のことを思い出し、口に出した。

「そうかー? ドロドロしてるぞ?」
先生はにこっと笑った。
「そういうものですか」
先生は笑ったままうなづく。

わたしはこの担任のことが大好きだった。教室にいるときは怒るポイントが全然わからなくて、いつ教科書が飛んでくるか、教卓がぶっ倒れるかわからずヒヤヒヤしていたけれど、二人で話すときはどんなはなしだとしても、いつも笑顔でまったり話してくれた。

めちゃくちゃやっかいものだったはずのわたしにたいして学年担任のほとんどは、まっすぐ目を見て子供扱いするわけでも繕うわけでもなくわたしよりも年上のオトナとして話してくれた。

わたしが、オトナが好きでオトナにあこがれるのは先生のおかげだ。と、いまこれを書いていてはじめて気がついた。

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