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仮庵

書きとめる仮住まい

からだの不調を自覚する能力にとぼしいらしく、なにかを見聞きしているうちにふだんならどうってことのないちょっとしたことが不快なような気がしはじめる。

おかしいぞ、とおもっているうちあれよあれよとコメディドラマすらおそろしくなり、ふだん聞いているラジオも聞く勇気が出ない。

そこではじめて「あ、調子よくないんだ。寝よ」となる。
お布団という安心の穴に入る。

このなかなか気がつかないという耐性は、強そうで幸せなようにおもえるも、芯はないので地獄でもある。

弱っているときは、ちいさな悪意とかそういうものにどうやら敏感だ。ふだんは鈍感で皮肉にも気がつかないというのに、かんたんにこころにささって穴が開く。大したことじゃない。わかっているのにあいてしまう。非常にめんどうだ。

はやく強くなりたいと思ってきたが何年たっても防御力はあがらない。
寝るだとかをすればまぎれ、忘れるスピードはあがる。痛み止めみたいなもので我にかえるとまた恐ろしさがもどってくる。

ひととき忘れることはできるけれど、穴はそのままだ。欠乏感がそうさせるのか、だれかのことばが読み・聞きしたいなあと、つよくおもう。

他人によってえぐられたものは、やはり他人でおぎなわざるをえないじぶんに気がついたときは苦笑いしかうかばなかった。

なにかに書かれたことばはその人が時間をかけてえてきたもので、それをわけてもらえるのは……ことばがうかばないな。そのままだけれど、ひと肌を感じるとはいえる。

穴なんてあかないならあかないほうがいいのだろうけど、あいているから だれかのことばがわかることもあり あいているからわからないこともある。

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