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仮庵

書きとめる仮住まい

コインランドリー

体験したことのない連日の湿気にうんざりしている。

洗濯物は3日待っても乾かないし、子どものーーもう、どう洗っても真っ白には戻らないーー泥色のクツを洗わなければいけなかったので、ついでにシーツも引っぺがし、コインランドリーに出かけることにした。

考えることは皆同じなのか、大量の洗濯物を抱えた利用客で店はいままで訪れたなかで一番混雑している。

運良く利用したかった洗濯機も使え、やれやれと思いながら待ち時間を読書に当てようと本を取り出す。
ところが、3台も使っていると終了時間がめまぐるしくて落ちつかない。
しかたがないので、ぼんやりと店内を見ている。

初めてコインランドリーを利用すると思わしき、老夫婦のすがたが微笑まく嬉しい気持ちになった。

「ああ、もっと入ったね。失敗したね」
「はじめてなんだから、こういうのは勉強してみないとわからない」

わからないからと尻込みするのではなく、仲睦まじく傾向と対策を話し合いながらふたりでグルグルまわる洗濯物を見つめている。その横で、我が子も乾燥機のグルグルを直立不動で見つめている。

あら、あんな洗濯機が。
あら、あんなものも洗えるのね。
これ、どうやって使うんですか? そうなんですか。ありがとうございます。
あら、便利そうなカゴが。どこに売ってるのかしら。探してみようか。
残り時間も中途半端だから、このままみていようか。そうね。


雨は降り続くし、多湿で洗濯物が乾かないから致し方なく訪れたであろうコインランドリーにて、ご夫婦ははじめての体験にとても楽しそうで、濁りのないフラットな姿が無関係なわたしのことすらふんわりしたあたたかいきもちにさせてくれる。わたしはあんな風に、歳をとれるのだろうか。などと考える。

我が家の洗濯物も無事ふんわり乾いたし、不快な湿気を忘れられるよい1時間半だった。

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