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仮庵

書きとめる仮住まい

「既読スルー」の観察

本日は久しぶりの、ことばをぐりぐりこねくりまわしてみるコーナーです。

本日はこちら。ばばん!
「既読スルー」

まあ、意味は読んで字のごとくですよね。 メッセージを読んで、スルーすることの意。

このことばにどのような印象を受けるか、は別にして、
この子には「空気を読む」要素がギュッと詰まっているのではないか。俗語の出現としては平凡ですが存在は新種なのでは? という興味を抱いています。

では、こねくりまわしてまいりましょう。

返事必須の価値観から姿を現したもの

この言葉が出現・成立した前提には「返事必須の価値観」があると思います。

「既読」という表示機能が生まれる以前、わたしが学生だったころですが
今でいうガラケーでのメール・ショートメッセージのみの時代にも、夜にメールが来る→見たけど放っておく→翌日「なんで返事くれないの!?」と言われることはありました。個人的な経験ですが。(何度も)

なぜ返事をしないのか。という理由をあえて個人として述べるのであれば「え、返事が必要な文面だった? 」です。

女子の世界では非常に生きにくい性格はさておいて、そういう経験からいえば、メッセージは読んだら返事をするものという「返事必須の価値観」は既読機能以前からーー具体的な単語としてはないまでもーーあった。と思っています。

時は過ぎ「読まれた」という情報が可視可能になったことによって、その価値観を内包しながら姿をあらわしたことば。
それが、既読スルー。

「空気を読む」の圧縮

ではそのことばに内包されているものが「返事必須の価値観」だとして、それを展開してみると

  • 無視されているのではないかという不安
  • 「返事をしないのは申し訳ない」という感情

これらがネストされているのではないか。

冒頭でも述べた通り、この言葉には「相手の感情への配慮と自分保守の相互関係」いわゆる「空気を読む」がギュッと詰まっているのではないかと思ったのです。

空気を読む、すなわち互いのために状況にあわせて行動せよという暗黙が、当事者たちには存在するのです。

「空気を読む」ということばも近年のものですが、それらが生まれる以前から、日本には暗黙として「空気を読む」という環境はあったと思います。

しかし、それが圧縮されたことばは、珍しいのではないか。

なにかないかな? と考えてみたのですがパッと浮かびませんでした。 似ているものとしては、昔あったmixi疲れでしょうか。でもあれは「空気を読む」要素は含まれていなかっと思うのですよね。 疲れたのは自分自身であって、相手に向けたことばではありませんでしたから。

そういった意味で、SNS関連で一歩進んだ……というか、新種のことばだなあ。と感じています。

とりあえず展開したので元の形に戻しておいてあげましょう。よっこいしょ。
なかなか興味深いことばでした。行く末を見守るリストに加えておくことにします。

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