仮庵

書きとめる仮住まい

ほぼ日刊イトイ新聞の本 : 糸井重里 : 講談社文庫

この本は、糸井重里さんが「ほぼ日刊イトイ新聞」(以下、ほぼ日)をつくるきっかけから、よちよち歩きをはじめるまでのお話(早すぎる社史と書かれています)です。
成長後の姿は、多くの方がご存知だと思います。

仕事論の物語でもあるようだし、メディア論の物語でもあるようだし……と、その時の読み手の立ち位置によって様々に読めるのではないでしょうか。

わたしは初読時「危機あり、たくさんの仲間との出会いあり苦悩あり希望あり、あたらしいメディアへの確信ありの、みんなで作った船で大海原に漕ぎだしていく冒険譚」のようだとワクワクしました。

今でもあたらしいことをはじめた時は、ワクワクと勇気がほしくて決まって読み返す本です。

今回はブログをはじめた。というきっかけで読み返したのですが、内容は覚えていたはずなのに、ブログを作ったということにより、さらに楽しく読みました。

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この本は単行本として2001年に出版された本ですが(2004年に文庫化)、いまメディアを作る上でも膝を叩いて唸るようなことたくさん書かれています。

当時、ホームページはHTMLを操らなければ作ることができませんでしたが、現在では会員情報を登録すれば誰でも開設できる(インストール型もあるけどね)ブログが広がったことによって、誰もが簡単に立ち上げられるようになりました。
個人メディアの間口は回線の太さと共に広がったなー。という個人的印象。

そして、テキストにぽちぽちタグを貼り付けるという労力はほぼ皆無となり、テキストを書けばすぐに発信できる。

ファーストフード店のようにもなれるだろうし、ニッチな店のようにもなれるだろうし、誰しもがすぐに! 何かになれます。

しかし、なるための手法が変わっただけで、コンテンツ(情報のなかみ)を提供することにかわりはありませんよね。

近年よくみかけるPVを稼ぐテクニックではない、メディアの「コンテンツとは何か」という糸井さんの考えは、きっとブログに希望とヒントを与えてくれます。

これからブログをはじめる人にも、やっている人にもきっと楽しい本だと思いますよ。

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わたしがこの本に抱くイメージは「信頼関係」です。
漠然としていますが、それが心地よくて、なんども読み直しているところがあります。

インターネットを徘徊していると、ヒリヒリとした思いをすることがあります。

インターネットは相手の顔が直接みえない。
見えないからといって、人間同士の関わり方をおろそかにしてはいけない。
相手のことを考えなければならない。

文にしてしまえばとても当たり前のことのように思えるのですが、実際はネット上のみならず社会でもその当たり前が当たり前でないような気がしています。

そのような中で、想いをもって場を作っている人たちがいるというのは安心します。

メディアの色は、そういうところがあらわれるような気がしてならないのですが。

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ほぼ日の歴史だけではなく「メディアの参考書」としても読めますよ。

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

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