仮庵

書きとめる仮住まい

時間指定

14時半。
「おやつまだー」と子どもがいう。

腕時計をつけて、みずから5分おきに時間を確認しているというのに、わざわざ母に訊く。
いや、訊いているかどうかも微妙ではある。
耐えるためにわざわざ口に出している気もする。
ただの衝動である気もする。

「なんも、いま食べてもいいよ。三時に食べなければ同じだし」

時間というものをおぼえていただきたく「おやつは十時と三時」と言ってきたが
アナログ時計はまだ読めないものの、日付も時間も理解したいまは、
総量だけ守ればそれでいいと思っている。

しかし、こどもはこわい顔をしながら、
食べる予定のおやつのパッケージをみせてくれた。

「さんじ」

ペンで時間が記入されている。
なるほど。指定されているからきっちり守らなければならないのか。

物体そのものに時間指定をする発想はなかった。
わたしも本の表紙に指定を書いたふせんを貼ろうかしら……。
しかし、なぜわたしは、にらまれなければいけないのだろうか。

自ら指定したものだから、文句の言えない我が子は、
むっとした顔のまま無言で引き返し、
レゴで自作した戦車であんこうチームごっこを再開した。

パッケージには、若干破ったあとがあった。

広告を非表示にする