仮庵

書きとめる仮住まい

児童文庫コーナーにて

我が子の立ち読みは長い。

きっちり端から端まで読み終えてから厳選した1冊をかかげ「これほしい」という。
品定めの方法としては間違っていないだろう。
所要時間は最低1時間だ。

母は自分の本も探したいのだが、
絵本コーナーに放っていくわけにもいかず、
隣で子ども百科事典を1ページ目から読んで、
品定めが終わるまで付きあう。
これはこれで楽しい。

わたしが子どもの頃は、
「閑散としている場所」
というイメージだった児童文庫コーナーで
結構な人数の子どもが本を選んでいる。
学校で読書の時間があるのだろう。

大抵の子は、ぱっと選んであっという間にいなくなるが、
小学校中学年くらいの子が、
数冊抱えて棚の前を行ったり来たりしていた。

クレヨン王国ズッコケ三人組、霧の向こうのふしぎな町。読んだなあ。
なんてことを考えながら、
今の子はどんな話を読んでいるのか気になったが、
あまりじろじろ見るのも気が引けて、
知らないふりを決め込んだ。
結構悩んで選び続けている。

そんな様子を目の端にとめながら、
偉人や恐竜のプロフィールを読む。
これ面白いなあ、ほしいな。 と値段を見て驚いた。

児童文庫コーナーに、
さきほどの子のお父さんがやってきた。

第一声は、
「そんなマンガみたいな本はダメだ」
苦笑気味のひとことだった。

つい、ちらりと様子を見てしまった。
なるほど、ラノベさながらの表紙である。
アルセーヌ・ルパンも、シャーロック・ホームズも若いイケメンとして描かれている。
親ウケは悪いだろうなあ。
でも、こどもにしてみたらいまどきのマンガ絵の方が親しみやすいだろう。

その子はぽつぽつと何かを話したあと、
お父さんは再び自分の本を探しに行ったようだ。

おばさんはおせっかいながら心配になった。
自分で選んだ本が否定されてしまった。
好きなもの、自分の選んだものを親に否定されるほど、心がくすむこともない。

その後の本の探し方は、
読みたいもの探すのではなく、
いかにも当たり障りのなさそうな表紙を探していた。

我が子の立ち読みが終わった。

その子が最終的になにをレジに持って行ったかはわからないが、
出資者がいることによって、
指摘が入るということは避けられない場合もあるだろう。難しいなあ。と思う。

ただ、読書は楽しいことであってほしい。
親の顔色をうかがってするようなことではないはずだ。

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